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「ミッチャン、緊張していない? 大丈夫、ママが居るわ。」
と、アンパンマンがこちらを向いて、ウィンクをしながら親指をグッと立てる。
「こんな時は、手の平に女という字を三回書いて、いけないんだけど淫猥な響きにゾクゾクすると緊張がほぐれるらしいわよ。」
駄目だろそれは。
何で見合いの席で、会う前から身体を火照らせなきゃならないんだ。
「いざという時は、ママを使いなさい。」
アンパンマンは自分の頭を指差し、トントン叩く。
どういう意味?
僕の頭を食べなよって事?
呆れ顔で母を見ていると、通路を擦る音が聞こえてきて、障子の前に人影が二つ見えた。
「お待たせして申し訳ありません。」
障子が開く。
遂にご対面かと、俺達親子に緊張が走る。
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