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「林 正です。宜しくお願いします。」
俺がお辞儀をすると、教室内は疎らな拍手で迎えてくれた。
……まぁ、いつもよりはマシな方さ。
「林君は家族の都合で長くは皆と過ごせないかもしれないが、仲良くしてやってくれよな! 記憶に残る学校生活にしてやろう! 」
ブルーに白のラインが入ったジャージで、体育の時間にしか使わなそうなホイッスルを首にかけた如何にも体育教師的な担任はそう言うと、上腕部の力瘤に一層力を込めて、血管をビクンビクン脈動させた。
……こんな教師、漫画の世界にしか居ねぇと思ったけど、マジに存在するんだな。
「ん~~林君の席はそうだなぁ……若林の隣がいいだろう! 座りなさい」
担任は窓際を見ると、女子生徒の隣の空席を指差した。
彼処に行きつくまでに何かされるに違いない──今までの経験が既に警笛を鳴らしていたが、構わず言われた通りに俺は席へと向かった。
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