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席の一列目、二列目、三列目を過ぎた辺りだろうか。
突如、間違いなく引っ掛かる場所に用意された膝下30㎝が、俺のバランスを崩した。
転びながら、王道で古典的なやり方にまたかと内心苦笑しつつ床に俯せる。
(痛ぇなぁ、もう)
強打した右手、左肘を庇いながら面を上げる。
怒りとか情けないとかそんな気持ちは、遠い昔に置いてきた。
ただ俺は在籍するまでの間、成る丈平穏無事にやり過ごし──。
──たいと。
胸の内の感情が出尽くす前に。
俺の目前に現れたグラビアアイドルに目を奪われて、思考は停止した。
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