【運動会】

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教室へ入る竜馬。 いつもよりガヤついている教室は賑やかだった。 『おはよう! リョウマ』 『おはよう』 『いよいよたいね』 『……うん』 一走目を走る悟(サトル)は既に五組のカラーであるブルーの鉢巻を巻いていた。 『母ちゃん来ると?』 『……わからん』 『そっか……気張ろうな』 『あぁ……』 竜馬の家庭の事情を唯一知る悟は、竜馬の親友だった。 『席に着け!』 担任の佐藤先生が教室に入って来た。 早速、運動会の細かな注意事項を話し出した。 ソワソワとガヤつく教室。 『静かにしろ!』 佐藤先生の大声に一瞬静かさを取り戻す教室。 また、ガヤつき始める。 『体育委員はしっかりみんなをまとめて、ミスの無いようにする事! 後、怪我には充分気をつけろ、しっかりと準備運動をする事! いいな!』 『ハイ!』 いつもより永く感じた佐藤先生の話しが終わり、各々椅子を抱えて運動場へと移動する。 『リョウマくん、アンカーだね』 裕美が竜馬に声を掛ける。 『まぁ……』 『トモミが心配してたよ、リョウマくんに上手くバトン渡せるかなって』 『大丈夫、心配はいらんたい、トモミが一番バトンを渡すの上手やけん』 『うん、頑張ってね、応援してる』 裕美の甘い髪の香りにドキドキする竜馬。 裕美に勇気を貰っていた。
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