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そしていよいよ最後のプログラム、六年生の選抜クラス対抗リレーが始まろとしていた。
『さて、いよいよ最後のプログラム! 六年生選抜クラス対抗リレーです。どうか皆さん選手を拍手でお迎え下さい!』
選抜のリレー選手にとって、たまらない瞬間だった。
緊張感が一気に高まるが、優越感が勝る。
盛大な拍手に迎えられ、選手は定められた位置へと歩く。
一、三走目、アンカーが同じ位置へ、二、四走目が同じ位置へとポジション取りを終える。
いよいよスタート。
シンと静まり返る校庭。
大分傾いた陽射しが、スタートのピストルを持つ先生の長い影をつくる。
『位置について……用意……』
静寂が校庭を包み込む。
バァーン!
ピストルの音と共に緊張が弾け飛ぶ。
絶叫的な声援と太鼓の音が校庭を包み込む。
このリレーで一位を取れば五組の優勝だった。
竜馬の肩に力が入る。
三走目の哲也が竜馬に声を掛けた。
『やろうな!』
『うん』
一走目を走る悟は一位で二走目の早苗にバトンを渡した。
『いいぞサトル!』
二走目の早苗も一位で三走目の哲也にバトンを渡した。
竜馬は自分の頬をパンパンと叩いた。
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