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「そんなの……証拠がねぇ……」
近藤に指摘されて、途端に勢いがなくなる。
それを見逃さず、近藤はさらに言葉を重ねる。
「お前だって気づいているのだろう?だったら、お前は親としての責任を果たさなきゃいけない」
「……」
「トシ……これは局長としての命令だ」
局長の命令。
そう言われると、土方は従うしかなかった。
「……勝手にしろ!」
そう吐き捨てると、怒ったように部屋から出ていった。
「副長!!……失礼します」
土方の後を斎藤が追い、それがきっかけで部屋の中の雰囲気が穏やかな物に戻った。
「あ、ありがとうございます」
小鈴は近藤に対して頭を下げる。
「どうしても、君をほっとけなかったんだよ」
「え?」
首を傾げる小鈴に、近藤はそれ以上何も言わなかった。
そして、そんな小鈴をジッと見つめる沖田の双眸が厳しい物に、小鈴は気づいていなかった。
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