父と呼ぶ少女

2/7
前へ
/140ページ
次へ
「ホンッッット、斎藤さんって細かいですよね」 「細かくない。何で巡回中に団子食ってるんだ?」 「だから、市中の人達との触れ合いじゃないですか。商品を買ったついでに情報を聞き出してただけです」 時は元治元年。 昨年新たに京の治安維持のために作られた新選組。 その幹部である沖田総司と斎藤一は喧嘩をしながら新選組屯所へと帰っていた。 「あれ?」 斎藤のお小言をかわしていた沖田は、屯所の前に小さな女の子が立っているのが目に入った。 「ここに何か用なのかな?」 沖田は少女に目線を合わせるようにしゃがみ込む。 「お兄さん、ここの人?」 少女は大きな目で沖田を見つめる。 その少女は幼いながら聡明そうな雰囲気で、しかもかなりの美少女だった。 「そうだよ」 「だったら会いたい人がいるから、呼んできて欲しいの」 もしかしたら誰かの娘なんじゃないかと、沖田は快諾した。 「土方歳三……って人なんだけど」
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

999人が本棚に入れています
本棚に追加