父と呼ぶ少女

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「そうだ、トシ。飯を食いに行こう」 門の前の騒ぎに、いまだ気づいていない局長と副長。 二人は呑気に副長室にいた。 休まず仕事を続ける副長を心配した局長は、食事にと誘うが…… 「俺はいい。あ、もうすぐ総司と斎藤が帰ってくるから、そいつらと行って来いよ」 と、机から視線すら外さずに一蹴した。 「えぇ~。俺はトシと行きたいのに……」 「男二人で飯なんか食って、何が楽しいんだよ?」 くだらない事言ってないで、帰った帰ったと手を払う仕種をした時、屯所内がやけに騒がしい事に気がついた土方。 「何か、騒がしくないか?」 「あ、ホントだ」 「ま、大方総司が戻ってきたんだろ」 と、特に気にしなかった。 そして、しばらくしたらバタバタと騒がしい足音がし、次にスパンと勢いよく障子が開け放たれた。 そこには案の定、沖田の姿。 「私、土方さんがそんな人だったなんて思いませんでした!」 と、訳が分からず罵られた。 「は?てか、部屋に入ってくる時は声をかけろと、いつも言ってるだろ?」 と、とりあえず沖田に説教をする。 「まあ……いつかこんな日が来るかなぁとは思ってましたよ」 「さっき思わなかったって言っただろ。結局どっちなんだよ?」 無視されても、冷静にツッコミを入れる。 「もう、煩いなぁ。で、土方さん、お客さんですよ」 「俺に?」 「はい。貴方の娘さんが」 「……………………は?」
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