父と呼ぶ少女

6/7
前へ
/140ページ
次へ
娘と言われても訳の分からない土方を、とりあえず来てくれと門の外まで引きずっていく沖田。 その後ろを近藤がついて行く。 「トシの揉め事を見て見ぬ振りは出来ないからな」 と最もらしい事は言うが、結局は面白がっているのだった。 「まあ、男なんてそんなものよ。どれだけ尊敬出来る人間だって、隠し子の一人や二人はいるものよ」 三人が門へとたどり着くと、そこには少女に慰められる成人男性の姿があった。 そのあまりの異様な光景に、三人の足が止まる。 すると視線に気づいたのか、少女がくるりと土方達の方へと向いた。 そしてトタトタと走り寄ってきたかと思うと、土方を見上げる。 「貴方が土方歳三さん?」 「……あぁ」 大きな瞳に見つめられ、身動きが取れない土方。 しばらく見つめ合った後、少女は土方へと抱き着いた。 「会いたかった、お父様!!」 「はぁ!?」 見知らぬ少女に父と呼ばれ抱き着かれ、土方は思考が停止した。
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

999人が本棚に入れています
本棚に追加