父と呼ぶ少女

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「トシ!おい、しっかりしろ!」 完全に固まった土方の肩を、近藤が揺さぶって何とか正気を取り戻した。 「ちょっ……離れろ!俺に娘なんかいねぇ!!」 バッと少女を引き離す。 「小間物屋……おしず……」 「っ……」 土方から引き離された少女は、一瞬傷ついた顔をしたが、すぐに表情を戻した。 そして小さく呟いた言葉を聞いた土方は、ぐっと言葉に詰まる。 「身に覚えあるんじゃない?」 勝ち誇った笑みを浮かべる少女と、苦い顔をしている土方。 誰が見ても、答えは明らかだった。 「とりあえず、込み入った話は中でしよう」 あまり往来で揉め事は良くないと思った近藤は、少女を屯所の中へと招き入れた。 「ほら、トシも」 いまだにその場所から動こうとしない土方の腕を取り、中へと連れ込んだのだった。
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