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セロ「なっ…なっ…」
セロの顔がみるみる赤くなる。
セロ「女の子待たせるなんてサイテー!いつからそんな偉そうになったわけ!?昔は…」
言いかけて、ハッとした様子で言葉を止める。
龍「昔は?」
やっぱり、どこかで会ったことが…
セロ「…い、いいの!とにかく、早く来なさいよ!」
慌てた彼女に半ば引きずられ、庭に連行される…
…ズルズル。
僕の家は広い。
庭に出るまでに長い廊下を進まなくちゃならない。
龍「ねぇ、僕らって…どこかで会ったことある?」
天井を見上げながらセロに聞いてみる。
龍「さっき考えてたんだけど、君には前に会った気がするんだ」
気のせいじゃないと思う。
セロ「……それも、私に勝てたら…全部話す」
セロはこっちを見ないまま、少し拗ねたように答えた。
龍「いや、だから…まだやるとは…」
セロ「次に反論したら…」
セロ「……」
間が怖い。
龍「……したら…?」
恐る恐る聞いた。
セロ「ナメクジだらけの棺桶に生きたまま入れて埋める」
龍「ひっ…」
ナメクジ!あれは駄目だ!あのヌメヌメした感じとグロテスクな見た目…思い出しただけでも鳥肌が……!
龍「や、やります」
そう答えるしかなかった。
セロ「よろしい。最初から素直に従えばいいのよ」
ナメクジを引き合いに出されたら従うしかない。
でも、これで確信した。
(僕らはお互いをを知ってる)
いつ、どこで出会ったのかまでは思い出せないけど。
セロ「あのさ」
龍「なに?今考えごとしてるんだけど」
僕は今、見え隠れする謎の一角をつかもうとしているんだ。
セロ「そろそろ立ってくれない?」
そう、引きずられながら。
引きずられ…
龍「あ…」
気がつけばもう庭に続く裏口まで来ていた。
龍「ご、ごめん」
セロ「まぁ、ちょっと腕が疲れたけど。ヒヨコくんのハンデにはまだ足りないかもね」
龍「ひ、ヒヨコ…」
健全な男の子に向かってヒヨコ!?
セロ「くやしい?なら、私を倒して見返してみれば?ふふっ」
セロは口を押さえて笑っている。
龍「…言ったな」
そうだ。一人で考えるより、この生意気な銀髪を倒した方が早い。それで謎は解けるんだ。
龍「さっきは不意をつかれたけど、今度はそうはいかないぞ」
セロ「弱い犬はよく鳴くんだよー?知ってた?」
…もう手加減しない!
龍「後悔させてやるよ」
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