はじまり

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はじまり

僕たちが住むこの村は、小さいながらも活気に満ちている。 別に特産品があるとか、そんなんじゃない。 だけど若者を中心に訪れる人が後を断たない。 ?「なぁなぁ、放課後試合しねぇ?」 村を活気で満たしているのはバトルギア。 この村は街に負けないくらいバトルギアが盛んで、専門のショップもかなりの数があったりする。 無敗の帝王。 そう呼ばれたソルジャーが、かつてこの村にいたから。 リングネーム:サルファ。 本名:岡本 猛(おかもとたける)。 僕、岡本 龍(りょう)の父親でもあった。 軽装スーツで無敗。 続いての大会制覇。 その快挙を成し遂げた父さんを倒すため、国中のソルジャーが押し寄せたのが始まりだ。 スーツは大まかに3種類あり、防御装甲を多くつけた重装型、防御性と機動性をバランスよくチューニングしたノーマル型、そして防御を捨て、機動性のみを重視した軽装型に分かれる。 一番多いのがノーマル型で次に重装型。軽装型は最近は滅多に見ない。 いたとしても防御を捨ててるためにバトルで大怪我をして、別のタイプに変わるか…最悪引退してしまうからだ。 そんなリスクをものともせず、結局無敗のまま…ある日を境に父さんは姿を消した。 ?「なぁ龍、きいてんの?」 龍「あぁごめん翔(しょう)。なんだっけ」 翔「なんだっけ、じゃねーよ。放課後バトルしないか?って聞いたんだよ」 郷田 翔(ごうだ しょう)は僕の幼なじみだ。近所からは兄弟みたい、と言われるくらいずっと一緒にいる。僕の一番の友人であり、そして 翔「昨日朝からショップに並んで、最新の装甲ゲットしたんだ。対お前仕様だぞ」 この通り、ライバル(自称)でもある。 翔「武器も新しくした。軽装だろうがノーマルだろうが2、3発でKOだ」 翔のスーツは重装型、接近戦を主体としたタイプだ。僕はノーマルと軽装の間で武器は鞭を使う。防御も考慮して左手には武器をつけずシールドを装備している。 翔「なぁ、お前って鞭以外の武器使わないのか?」 龍「あぁ、まぁ…これが一番慣れてるしね」 翔「ふーん」 そんなやりとりをしていると、クラスからひそひそと話し声が聞こえ始めた。 「また郷田が岡本越えに挑戦するみたいだぞ」 「いや、無理だろ…昨日でたしか龍、99勝0敗だぜ」 翔が小声で話している男子を睨んだ。 翔「そんなの関係ないっ!今日こそ俺が勝ーーつ!」 怖じ気づくどころか、逆に闘志を燃やす翔。
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