はじまり

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翔「に、2分って…最短記録じゃねえか…」 過去最速の敗北に翔が崩れ落ちる。 龍「いや、これは翔のセッティングミスが原因だよ」 翔「え?なんで?」 翔が僕を見上げ、泣きそうな顔で見つめてくる。 (…っていうか、泣いてる…) 僕は笑いそうになるのをこらえながら答えた。 龍「…ごほんっ!えっと…ガイアに加速用ブースターつけてたよね」 翔がうんうん、と首を縦に振る。 龍「あれさ、どっちかというと回避用なんだ」 渚「うん、あれ使ってコーナーの龍に突進した瞬間、翔の負けは確定だったよ」 試合を見ていた渚が感想を付け加える。 渚「最初の一撃はよかったんだけどね」 翔「え?え?」 まだ飲み込めていない翔に説明を続ける。 龍「翔が新しく足に着けたブースターは瞬間加速で回避するためのパーツだから、攻撃には向かないんだ」 龍「一方向に加速したら軌道が変えられないから、すごく狙いやすいんだよ」 そこに防御にまわした鞭でグローブを作った拳を叩き込んだわけだ。 龍「ガイアの加速と僕の一撃が防御耐久値がなくなる勢いでぶつかれば…」 どかーん。と、大袈裟にジェスチャー。 龍「渚の言う通り最初の一撃はやられたけど」 …あれは本当に予想外だった。 龍「スタート直後、体でブーストしてるのを隠してただろ?あれで一瞬判断が遅れたんだ。」 あのまま攻められたら危なかった、と付け加える。 …が、当の翔は。 翔「…?」 首をひねって考えこんでしまった。 龍「…もしかして、たまたま?」 翔「なんのことかさっぱり」 僕と渚は顔を見合わせた。 龍&渚「はぁ…」 そして同時にため息をつく。 渚「それじゃあいつまでたってもルキには勝てないよ」 もっと修行したまえ、と言い残し渚は帰っていった。 翔「なぁ、なにが危なかったんだ?」 龍「え…まだ考えてたの」 翔の横に座り、もう一度最初から説明したりアドバイスをしたりしているうちに、辺りは暗くなり始めていた。 龍「もうこんな時間か」 僕も帰ろうかな… 立ち上がりズボンの砂を払うと、まだ考えこんでいる翔の肩を叩き 龍「また明日、学園で」 とだけ伝え、帰路についた。 …… …… ?「岡本 龍。力10点、技術30点、戦術45点…ってところか」 ?「この程度で無敗?しかも幼稚なアドバイス。なんて…くだらない」
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