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人々が夢に描いたり、神話に登場したりする天使と悪魔。
人々が住む世界とは別の世界に確かに両者は存在した。
人々からは天界と呼ばれるその世界は、一万年という長きに渡る熾烈なる戦争のせいで、人々が想像するような優雅なものではなくなり、酷く荒みきっていた。
見渡す限りの荒野。
そんな中、目立って向かい合う二人がいた。
「これで終わりだ!!」
力強い女の声がする。
背中に12枚の羽を持ち、ウェーブのかかった金色の髪を肩まで伸ばし、透き通るような肌をした彼女は、まさに天使と言うに相応しく、この荒みきった世界には酷く不釣り合いだった。
「神の名を冠する炎よ!!我に使えよ!!天使長ミカエルの名において命ずる!!全てを滅せよ!!」
美しいという言葉では足りない程に美しい外見からは想像出来ない、凛々しくも力強い声でそう言うと、手に持っていた剣が金色に燃えだした。
と、同時に、その炎はミカエルの体全体を包み込んで、まるで流星のようになった。
その流星は光の速さで敵を貫いた。
その衝撃で、世界にヒビが入る。
ミカエルの放った技は、敵だけでなく、世界の境界すらも突き破った。
「天使長ミカエルよ……我が軍隊は貴様らの軍に全て封印され……汝の刃が今我を貫いた……」
背中には黒くやせ細った12枚の羽
頭には二本の角
顔には赤く光る目
肌は全体的に薄紫なる色をしていて、何よりもその体からは世の中の全ての不吉さを表したようなオーラがでていた。
「今は負けを認めよう……。だが我は必ず戻ってくる……今度こそお前の首を取りにな!!……ククク……ハハハ」
腹にデカい風穴を開けられつつ、男はそれだけ言うと、笑いながら次元のヒビが割れた場所に吸い込まれていった。
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