当主が背負う物

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「俺は数多の将兵の命を守るため、祖茂を犠牲にした」 少ない犠牲で、多数の命を救う事を選択した孫堅。 祖茂が敵に切り込み、足止めをしなければ自軍が全滅した可能性もあった。 それは伯符も理解している。 しかし、まだ若く経験が少ない伯符は、どうしても感情を抑えきれない。 「分かってるよ」 と怒鳴り、地面を蹴りつける伯符。 「分かってんだけど、親父みたいに冷静じゃ、いられねえんだよ」 「……俺も冷静でいられるはずがないだろ」 そう言い、伯符の方を向いた孫堅の瞳には涙が浮かんでいた。 「親父」 江東の虎と謳われし、勇猛な父が見せる悲しみの涙。 その涙を見た伯符は黙り込んだ。
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