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「当主たる者、将兵を前に涙は見せられないからな」
と言い、涙を拭うと伯符の両肩に手を置き、言葉を続けた。
「俺は、この背に新たに祖茂の魂を乗せた、これまでも俺を信じ、供に歩んで来た者達の魂を背負っている……良いか伯符、当主とは数多の将兵の魂を背負い、また討ち取った敵の魂をも背負い行かねばならない」
真っ直ぐに伯符に語りかける孫堅。
その眼には一点の曇りも無し。
「お前もまた、魂を背負い行く事になる、将兵がこの方になら〝魂を背負われても良い〟そう思ってもらえる当主になれよ」
「分かったよ」
と、ぶっきらぼうに答える伯符を孫堅は優しく抱き締めた。
「俺の魂も背負ってくれよ、虎の息子」
夕陽が2人を優しく包み込んでいた。
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