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「劉備君、キミは龍が形を変える事を知ってるかい?」
腰まで伸びた桃色の髪を揺らし、玄徳を見つめる曹操。
見る者全ての心を掴む程に美しき曹操の姿。
魔性と呼ぶに相応しき曹操に心を奪われそうになりつつも、平静を装い玄徳は。
「存じませぬな」
と答えた。
「そう、龍はね大なれば則(スナワ)ち雲を興し霧を吐き出し、小なれば則ち、介に隠れ形を蔵す、升れば則ち、宇宙(ソラ)の間を飛翔し、隠るれば則ち、波間の内に潜伏する、龍とは時に乗じ変化し、人の志を得て四海に縦横するが如き……龍は今、人の姿と成りて英傑たる器の持ち主たらんと僕は見ている」
「中々に興味深い話しですね、龍が英傑となって人の世に姿を現しているとは」
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