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「確かに我が手には関羽・張飛・趙雲といった猛者が居りますが、私自身に天下を所望する気がない故に」
玄徳は嘘をついた。
今この場で、天下を欲する事を公言すれば、未だに少数の軍勢しか持たぬ自分が真っ先に喰われると考えからである。
目を細め、玄徳を見つめ続ける曹操。
「ふふ」
突如、笑い出し玄徳を困惑させた。
「どうなされました」
「時々、嘘を真かのように話せる人が存在する……キミは嘘が上手なのか、欲無き人なのか、どちらなのかと思うと面白くてね」
その言葉に、玄徳は寒気を感じた。
どんな世界でも曹孟徳は曹孟徳、本物の怪物だ。
「ふふ、少し酔いが回ったようだけど、もう少し付き合えるかい」
と言い、酒を薦める曹操に玄徳は。
「頂き申す」
杯を近付けた。
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