伝国の玉璽

3/8
前へ
/70ページ
次へ
「親父はまだまだ長生きすんだから、そう簡単に当主の座を渡されてたまるかよ」 「長生きか、この先も続く戦乱では何が起きるか分からないぞ……覚悟だけはしておけよ」 そう答え、伯符を見据える孫堅の瞳は憂いを帯びている。 「……親父」 と、呟く伯符の前に腕を突き出し、制止させる孫堅。 後続の部隊も動きを止め、孫堅の周辺に並ぶ将達も孫堅の見つめる方角に目をやった。 太陽が昇る、地平の先から孫堅軍に向かって来る軍勢の影。 目算ながら相当数いると伺える。 「まさかと思いまするが、南郡の劉表の軍勢では」 そう呟く祖茂。 「連中め、黄祖の件の仕返しか」
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

737人が本棚に入れています
本棚に追加