伝国の玉璽

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殿の為に命を捨てる、将兵の美学が祖茂の死にはあった。 祖茂を殺せし劉表軍が兵達も、その死に様に息を飲む。 馬に跨ったまま、呆然と立ち尽くす騎兵達の横をすり抜け、祖茂の大地に転がる祖茂の死体を見下ろしす蔡帽。 「何と、満足げな死に顔よ」 と呟き、兵達に顔を向け。 「孫堅軍の追撃を続行しろ」 再度、追撃命令を下した。 兵は返事とともに、長沙へと向かう孫堅追撃のために馬を走らせた。 その様子を暫く眺めた後、蔡帽は馬から降り立ち祖茂の腕を綺麗に組み直し深く頭を下げた。 敵といえ、忠義を尽くした者への弔いであろう。 「蔡帽様」 慌てた様子で駆け寄って来た歩兵。 その手には、黄金に輝く昇龍のデザインされた小さな木箱を抱えている。
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