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気を失ったのはそれと同時だった
誰かの声が聞こえた
気が付いたのは屯所
六月三日だった
慌ただしく動いているのは
桝屋の事だろう
泉は起き上がり外に出た
気を失っている間
夢を見た
裕治と笑っている泉
その後ろにいる大人たち
一人は朝霞家の家紋
太陽を意識した蓮のような花
幸せに見えた日々
外の蒸し暑さがいつもは嫌だが
今は嫌じゃない
どことなく
心を落ち着かせてくれる
「大丈夫か?」
振り向いた先には
先ほど聞こえた声
「山崎様…」
「様なんてつけなくていいよ」
「山崎…さん」
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