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天正10(1582年)6月2日未明。
京の本能寺にて時の権力者(織田信長)が重臣の明智光秀に攻められ、自害して果てた。
京に滞在していた、蒲生家と関わりの深い、商人(溝尾庄兵衛)が安土城に居る、蒲生賢秀・氏郷親子に早馬で一大事を知らせた。
「お館様が!?..」
食事を取っていた賢秀は箸を落とし、一瞬の間、身体が固まっていた。
「父上、これからの事を考えませぬと」
息子の忠三郎が、父に進言する。
息子の言葉で賢秀は、落ち着きを取り戻した。
「忠三郎。これより、信長公の夫人や子供たちを日野城にご案内致せ」
「はっ。父上は、如何に致すので!?」
「安土城に残る」
「!?」
忠三郎は、驚いた。
すでに賢秀は、信長の夫人の許しを得て。
多額の遺産を使い、光秀打倒の兵を募っていた。
しかし、その兵を集めても今現在は、五千の兵しか集まっていなかった。
「敵を...」
ボソッと忠三郎にしか、聞き取れない声で何かを伝えた。
「兵を日野でも集め、戦に備えよ。よいな!?」
「ははっ」
忠三郎が平伏した。
忠三郎一行は、信長の夫人や子供をつれ、日野城に向かった。
同時に早馬にて、篭城の支度と、募兵をするように、日野城代で家老の島三十郎に伝えた。
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