第1章 囚人の思い

3/8
前へ
/8ページ
次へ
そんな、ある日。 レンは、何時ものように錯を辿りながら歩き、逃げるための隙間を探して歩いていた。 「やっぱり…ないか…」 そう呟き、空を見上げた。 雲の一つもない、澄んだ青空。 鳥が二羽、レンの頭上を翼を羽ばたかせながら、何処かへと向かって飛んでいく。 その姿を目で追っていたが、あっという間にその姿は見えなくなった。 (いいな…。僕も空を飛んで、何処かに逃げたい…、何処か…遠くに。) 一つに束ねた金髪を、憧れに染まった頬を、風が通り過ぎていった。 暖かく、優しい、太陽の匂いがする。 .
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加