序章 神のいないニホンの裏側で

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師崎椎羅(もろざきしいら)は、ニホンの裏側――ブラジルに流れついていた。 彼女は、『魔王戦争』を引き起こした張本人であり、そのためにニホンから国外退去及び公務員資格の剥奪を受けたのだ。 そして、国外退去でニホンから亜米利加(アメリカ)行きの飛行機で亜米利加に行き。そのままぶらぶらとしていると、伯剌西爾(ブラジル)に流れついていた、という訳だ。 しかし、 伯刺西爾で思わぬハプニングがあった。 何者かに拉致されたのだ。 そして、気づけば今ここにいる拷問部屋だ。 何でも、理由は、『魔王戦争』に関わる事らしい。 詳しい事は言わないが、『魔王戦争』のすべてを話せ、と言う。 まったくもって訳がわからない。 なぜ、あいつらは遠く離れたニホンの戦争の事を知りたがるんだ? 正直に言って、『魔王戦争』はニホンの問題であり、伯刺西爾の人間には関係ない事なのだ。 (くそ、……。なんで、拷問を受けないといけないの……?) 椎羅はそう思った。 洗いざらい話せば楽になるのだが、そうはいかない。 なぜなら、 (あのジジイ、『枷(かせ)』に『体内魔法陣』の封印と、戦争に関する情報の『ブロック』を付けやがったな。『魔王戦争』の事を口にしようとすると、言語化不可能になってしまうじゃない) 彼女は今、手首に鉄(?)で出来た『枷』をしている。それは、公務員資格の剥奪の際に付けられたものである。 そもそも、公務員資格の剥奪は、魔術師が魔術を使えない事を意味している。 そのための『枷』。 のはずだった。 しかし、『枷』には『体内魔法陣』の封印以外にもう一つ機能があったのだ。 それは、『魔王戦争』の情報の『ブロック』。 簡単な話、彼女は『魔王戦争』に関わる情報の一切を話せない。話そうとしても、言葉が口から出ないのだ。頭で思った事を言葉として口に出す、というプロセスに『ブロック』をかけているのだ。 「くそ……」 椎羅は忌々しくそう言った。 そして、 (にしても、あいつらの目的って……?)
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