secret.Ⅱ

5/18
前へ
/134ページ
次へ
我妻の笑顔が ピシリと固まる。 でも、それも一瞬。 目の前にある 槙の綺麗な顔を片手でガシッと掴む。 槙の口は必然的に タコ唇に。 ちなみに ずっと黙って成り行きを見ている 副会長の百合阿 聖は 最初こそポーカーフェイスを 保っていたが 槙の爆弾発言により 満面の笑みで楽しそうだ。 ソファーにうつ伏せになり 頬杖をつき まるで面白いテレビでも観るかの如く。 "離せやコラ"と言う槙を無視し 我妻は笑顔で言葉を発する。 (目は笑っていない。) 「この位置ならよく見えるか? これはホクロだ。 H・O・K・U・R・O。 精神年齢は5才児なのに 脳細胞は100歳越えてんな。 クソババア。」 我妻の言葉に またハゲ…梓葵は吹き出す。 槙はそんな梓葵に自分の 脱いだクツをクリーンヒットさせ 黙らせると 掴まれている顔をそのままに 言葉を発する。 「おへえはんか 中2ひょ、なふやすみひぇ とまっらふらしへんじへぇはほ。」 ※(おめえなんか 中2の夏休みで止まった面してんじゃねえかよ。) 「日本語おしえてやろうか? 授業料は一時間3万で。」 槙は我妻の手を 自分の顔からバッと離すと 気を失っている梓葵を踏んづけ 生徒会室の扉の前まで行くと 振り向き 舌を出す。 「クソガキ共。 放課後である今 私に予定がなかったら今日が命日だったぞ。 大家に感謝するんだな。 感謝しまくって大家の息の根を止めろ。 じゃあな。 二度と顔を見ることはねぇよ。」 バタンー と、扉を閉め行ってしまった槙。 途端に百合阿が吹き出した。 「あはは! なにあの子、相当おもしろいよっ ―くっ……ははっ 最後に殺害依頼していったね!」 我妻は ソファーの上で爆笑している 百合阿を不思議そうな顔で見つめる。 「めずらしいね。 あのアホ面、聖のツボ?」 「うん、かなり。 はははっ」 「槙だっけ? アイツとこれから放課後 毎日顔あわせるなんて 梓葵も気の毒だね。 まあ似たようなアホ系統だけど。」 我妻はチラッと 梓葵を見る。 が、梓葵はまだ 生徒会室に万べんなく敷かれている 絨毯の上でのびていた。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

150人が本棚に入れています
本棚に追加