secret.Ⅲ

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そして 沙由奈が我妻を振り切り帰ろうとするが、 我妻は諦めず(負けたくないだけ) 後を追って冒頭。 「………部をつくるだけで なんで家にまでついてくるんだよ。」 「早くお前と会わないように 終わらせたいんだ。さっさと行け」 「お前なんか 大家に殺されろ。」 そうこう言い合いながら ついたところは 駅から歩いて10分。 二階建てのアパート。 そんなに古さを感じさせない コンクリートの建物。 10世帯が入れる感じだ。 目の前には広い公園。 小学生達が遊んでいるのが 木々の隙間から見える。 「二階の奥がうちだ。 しょうがないから先に行っていいぞ。」 と、我妻の背中を押し 階段を上がる沙由奈。 「なんだお前。触るな。」 二階へ上がりきると 通路とは思えないほどに 花々が広がり庭園を思わせる雰囲気となっている。 その時、階段をあがってくる 足音が。 沙由奈は 我妻の背中を押しながら走り 自分の部屋までつくと すごい早さで鍵をあけ中へ入り 鍵を閉めた。 「……チッ 焦った。あいつ今日、仕事でてたのか。」 沙由奈はかいてもない汗を 拭うふりをして、声を潜める。 「……………(なに、コイツ。)」 沙由奈が 背中を押しながら入ったため 我妻は玄関で躓き うつ伏せで倒れ込み 沙由奈がそのまま 我妻の背中の上へ座り込むという 光景が広がっていた ピンポーン― 「さっちゃん帰ってるの?」 ドアの向こうから聞こえる 優しい綺麗な男の声。 途端に沙由奈は 嫌そうな表情をつくる。 沙由奈の 下敷きになっている我妻は 怒りを押さえながら口を開く。
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