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「真葵、そこのゴミ
あった場所に戻してきなさい。」
まるで母親の口調で言う梓葵。
真葵は後ろのソファーに寝転ぶ
聖にペットボトルのジュースを渡し
沙由奈にニコッと笑いかける。
普通の女子なら叫んで死んでいるだろう笑顔を。
沙由奈は"ゴミ"と言われた事に
カチンときて
縛られたまま立ち上がり
梓葵に近づく。
「……………………誰、お前」
「またかよッこのクソアマッ!!!」
「お前、カルシウム足りてないんじゃないのか?
煮干しを食うか煮干しになれ。」
「死ねってか!!その前にてめぇをゴミ箱に捨ててやるよっ」
「ハゲのくせに意外にエコだな。」
「ゴミって認めてんじゃねぇよっ
ムカつくなッ」
「じゃあなハゲ。
私は暇じゃねえんだよ。」
「おうおうさっさと帰れ!!
地球の果てまで帰れっ!!」
沙由奈はスタスタと
リビングを出て玄関まで歩いていく。
そしたらリビングの皆の視線は
梓葵に。
「なっなんで睨んでんだよ……―ハッ結翔まで!?」
「沙由奈ドア開けらんないから
連れ戻してきてよ兄ちゃん。」
真葵の言葉に皆がうなずく。
皆は勘がいい。
互いが沙由奈に目をつけているのはわかっていた。
そこで協力の輪が生まれる。
ゴールデンウィークの旅行に
沙由奈と行きたい皆。
そのためには
梓葵と沙由奈に仲良くなってもらう必要があった。
しっかり者の梓葵がいなければ
北澤家両親は外泊を許さない。
梓葵と沙由奈がこのままでは
沙由奈を誘うことは不可能。
まあ梓葵が沙由奈を
好きになる可能性はないものだ、
と思っている皆。
そんなわけで
皆に睨まれた梓葵は唸りながら
玄関へと向かっていった。
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