secret.Ⅲ

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―玄関― 梓葵が玄関につくと なにやらドアの穴から外を覗く 沙由奈。 「………何やってんだよ」 「……………お前の彼女の顔を拝んでやってる。なかなか美人だ。」 沙由奈の言葉に キョトンとする梓葵。 「は?彼女?」 と言いながら 沙由奈が離れたところに立ち 穴から外を覗く。 北澤家の庭は広い。 玄関のドアから 門までは距離がある。 梓葵には 穴から覗いても 門前でうろうろしてる人影しか見えない。 「………彼女だとして なんでお前が俺の彼女を知ってる?」 「金を借りた日、貴様が喧嘩してた相手」 「貴様って………―えっあの女!?」 梓葵は叫ぶと同時に ドアの鍵を開け門まで駆ける。 門までつけば たしかにアノ女だった。 ストーカー。 梓葵の姿を見るや その女は顔面蒼白。 その場を走り去ろうとする。 そのとき 梓葵はその女の腕を掴んだ。 「てめぇっ今日は逃がさねぇからな!!」 「……―いやっ!」 「暴力反対だぞ真葵兄。」 そのとき 沙由奈がヒョコッと門の影から 顔を出す。 沙由奈の姿を見ると 女は唖然とした。 それは沙由奈が ロープで縛られていたから。 変な汗をかきながら女は梓葵の顔を横目で見る。 怯えた目だ。 「…―いやいやいやいやいや!! 俺じゃねぇ!!弟がやってっいや、別にそんな趣味があるわけじゃなくっいやいやいやいやいやっ」 「まさかの羞恥プレイだったぞ。 彼女も気を付けろ。」 「誤解招くこというんじゃねぇぇっ!!!!」 梓葵は怒鳴りすぎて 頭がパンクしそうだったが 女の腕を離し 訳を聞く。 「なんなんだよ。誰なんだあんた。 どこで俺を知ったんだよ。」 女は身体を震えさせ 喋ろうとしない。 沙由奈はふと不思議に感じた。 「……真葵兄。 この人に何されてそんなに怒ってる?」 梓葵は不機嫌な顔をしながらも 沙由奈にこたえる。 どこの誰だか知らない女より ましだと思いこたえるのだ。 「手紙だ。 この女が家の前を通るのを頻繁に見かけるようになってから、変な手紙も増えていった。 最初はラブレター染みた手紙。 待ち合わせ場所を書いてあったりしたけどシカトしてたら今度は 俺を撮った写真が入ってた。 撮られた覚えのない写真。」 話を聞いた沙由奈は "ふぅ~ん"と興味なさげだ。 「てめっ人が素直に話してやればっ」 「自惚れだ真葵兄。」 「………―はっ?」
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