secret.Ⅲ

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"自惚れ"とは何なのか。 そもそも 自分の話を聞いただけで 何がわかるのかと 不思議に思う梓葵。 沙由奈は 女の顔を下から覗きこむ。 沙由奈の方がその女より だいぶ身長が高いみたいだ。 女はビクッと身体を揺らし 少し後ずさる。 女は黒髪のショートヘア。 沙由奈は女の首筋へ 顔を近づけた。 女は赤面してしまった。 梓葵は"…変態だ"と呟く。 沙由奈は 思ったことを話し出した。 「多分その手紙には 宛名がなかったんだな。 だから 真葵兄が勘違いした。 真葵兄が写真に写っていたのは 間違いないと思う。 けどもう一人それには写っていたんじゃないのか? ラブレターを送るほど 好きな相手にこんな怯えるわけ ないだろ。」 スラスラ確信したように言う 沙由奈に梓葵は手紙や写真を 思い返す。 「………―写真に写ってたのは… 俺と………………―真葵?」 沙由奈は コクコクと頷く。 「この人から真葵の匂いがする。」 「あいつっ 15歳のくせに女癖の悪いっ」 「人聞き悪いなぁ兄ちゃん。」 そのとき 真葵 登場。 そのうしろには 聖も結翔も苓汰もいる。 戻ってくるのが遅い 梓葵と沙由奈が気になって 来た様子だ。 苓汰が沙由奈のロープを ほどく。 ロープがほどけた沙由奈は 真葵に近づき女にしたように 首筋の匂いを嗅ぐ。 梓葵以外は それを横目で見やる。 睨んでる、と言う方が正しいのか。 真葵は不意を突かれ 頬を染める。 「…………うん、やっぱり 香水の匂いだな。 この歩く性欲吐きが。」 「やめてくれる? 本気で汚いもの見るその目。」 沙由奈と真葵をみて 女は口を開く。
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