第一章>>>見知らぬ世界

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「リュウ、着いてきて。」 成瀬にそう言われてやってきたのは城下町だった。 先程までいた森の中とは違い、とても賑わっている。 「おい、成瀬。ここで何す―――」 何をするんだ? 聞こうとしたときだった。 前を歩いていた紫乃の足が止まる。 「……言ってなかったけど。」 その声はなぜか小さかったため、後ろにいたリュウには上手く聞き取れなかった。 「は?なんか言ったか?」 すると紫乃は振り替える。 「……成瀬紫乃は仮名。本名はほかにあるの。…ロッティって呼んで。」 名前がふたつあることに驚いたわけじゃなかった。 ただ、 こいつにとっての現実はこっちの世界だったんだな、って思っただけで。 別にそれで悲しいわけじゃない。 だけど。 「………本名がこっちの世界のものってことは、お前は本当に異世界の人間だったんだな…」 紫乃はリュウの言葉を聞くなり、俯く。 「………裏切るようなことしてごめん…」 謝罪した紫乃はとても辛そうで。 まるで自分が裏切られて傷ついているような表情。 .
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