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「――リュウ、ありがとう。」
優しい声色の返事。
俯いた顔を上げる。
ロディの頬を涙が伝っていた。
リュウは戸惑う。
「うっわー、泣かせたー!」
ケルティがふざけてリュウに言う。
「え、えっ…俺っ!?」
とっさにラスディに助けを求めるが、ラスヴィはにこりと微笑み頷くだけ。
「ちょ、泣かせるつもりはなかったんだ。…てかなんで泣いてんの…?」
「違うの。嬉しかったの。やっと、力になってくれるって…。」
指で涙を拭い、真っ直ぐとこちらを見つめてきた大きな瞳が妙に愛おしかった。
「―――で、"朱"の情報だけど…」
「あ、そうだった。有力な情報は?」
「………これがさぁ、いろいろありすぎて困るんだわ。」
「…へ?」
「いや、多すぎてどれが信用できるかもわからない状態。」
ロディの目が一瞬点になる。
ラスヴィも焦った表情。
俺は驚かなかった。
何せ"朱"の用途、形状、効力、なにも知らないからだ。
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