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｢明日、出発する。｣
ロディからそう告げられたのは朝のことだった。
今は午後4時ごろ。
もうすぐ日が沈み始める頃だろう。
明日、"朱"を探す旅に出るのだ。
旅と呼ぶほどではないのかもしれないが。
そのため、一日旅支度をしなければならないだろう、と思っていた。
しかし、リュウは用意するものなど何もなかったのだ。
突然この世界に、身一つで連れてこられたから。
何ももっていない。
洋服も、金も
ｹﾞｰﾑ機も、ｷﾞﾀｰも
家族も
友達も
ここには―――ない。
そう思うと、元の世界が恋しくなった。
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