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「なぁ、ラスヴィってどうして俺のこと知ってるんだ?」
それを聞いたラスヴィの動きが停止する。
「……何も気にしなくていい。」
「――でもさ、俺が目覚めたとき『久しぶり』って言っただろ?俺とは違う世界の人間なのに、何でだ?」
「………」
ラスヴィは答えなかった。
それどころか、その表情は怒りすら感じ取れた。
リュウもラスヴィも、一言も言葉を発さないまま歩いていた。
行先は"朱"がある可能性がある場所。
現在は目的地との中間地点にいた。
そこは森の中。
きっと今日はここで野宿することになるだろう。
「…ふぅ、もういいわ。今日はここで休みましょう。」
ロディが重い空気の中口を開いた。
「まだ日は沈んでないけれど?」
ケルティがそう言うと、ロディはまた一つ溜息をついてこちらを見た。
「だって、しっかり和解してもらわないと。……ラスヴィに余計なこと言った私にも責任あるから…」
「あぁ、あの二人ね。」
ケルティは納得すると、食料を探しに行く、と言って森の奥へ進んでいった。
「一人で大丈夫かしら…。………やっぱり私も探してくる。」
「―――あ、…おう、わかった。じゃあ俺は火焚いとくから。」
しかし、ロディの言葉にラスヴィは返事をしなかった。
ロディとは主従関係でも仲が良さそうだったのに、何故?
とりあえず、二人には気を遣わせてしまった。
早く、解決しなくては。
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