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そのまま、断ることもできずに二人でバスを待った。
もちろん、傍から見れば相合傘にみえるような状況で。
幸い、傘で顔が隠れていて見えないと思うが。
数分待っていると、バスがこちらに向かって来た。
「――おっ、来た来た!…ありがとな。」
笠は笑顔で紫乃に言った。
それに紫乃は戸惑ったようで、返事として無言で頷いた。
バスが目の前に止まり、ドアが開く。
「じゃっ」
今度こそ、
手を挙げて紫乃に挨拶して、バスの扉に向かって行こうとしたときだった。
結斗がそのバスから降りてきたのだった。
結斗はすぐにこちらに気づき、動揺が表情に表れていた。
そして沈黙する。
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