第一章>>>見知らぬ世界

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そのまま、断ることもできずに二人でバスを待った。 もちろん、傍から見れば相合傘にみえるような状況で。 幸い、傘で顔が隠れていて見えないと思うが。 数分待っていると、バスがこちらに向かって来た。 「――おっ、来た来た!…ありがとな。」 笠は笑顔で紫乃に言った。 それに紫乃は戸惑ったようで、返事として無言で頷いた。 バスが目の前に止まり、ドアが開く。 「じゃっ」 今度こそ、 手を挙げて紫乃に挨拶して、バスの扉に向かって行こうとしたときだった。 結斗がそのバスから降りてきたのだった。 結斗はすぐにこちらに気づき、動揺が表情に表れていた。 そして沈黙する。 .
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