第一章>>>見知らぬ世界

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―――頭が痛い。 ひどい耳鳴りのようだ。 ―――だんだん痛みが軽くなる。 人の声が聞こえる。 複数人いるようだ。 目を開く。 あれ、ここどこだっけ? 「―――やっと目を覚ましたか。……久しぶりだな。」 すぐ傍で声が聞こえた。 身体を起こして、その方向へ向ける。 「……?…誰だ…?」 そこには青年の姿が見えた。 その後ろでは何人かが机で話ているのが見える。 知り合いだったっけ? 相手は笠を知っているような口ぶりだったが、笠はまったく見覚えがなかった。 しかも、いままで見たこともないような服装をしている。 腰には剣を帯びていて、赤みがかった茶色のマントを羽織っている。 銃刀法違反… ……まるで物語の主人公だな…。 「………誰?」 呟くように問う。 起きたばかりで声は小さかった。 相手には悪いが、まったくわからない。 覚えがない。 すると青年は少し俯い、フッと苦笑した。 「やはり忘れてるか…まぁいい。俺はラスヴィ・ステイル。」 「ら、らす……なんて?」 こいつ外人か? 「ていうかここはどこなんだ?俺、バス停にいたはずだったんだけど。」 笠が目を覚ましたのは木造の建物の中のようだった。 天井から壁まで木。 窓の外には木が生い茂る森、なんていう笠が住んでいた都会ではありえない景色も見える。 それに、一緒にいた結斗は? 成瀬は? バス停は!? つーかまじここどこだよ。 .
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