第一章>>>見知らぬ世界

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「ここはどこだ…?」 笠の問いに、ラスヴィは戸惑うような表情を見せた。 「……何から説明すればいいのか――――待て!今責任者を呼んでくる。」 と、言い残すと部屋を出て行った。 責任者? 何の? あぁ、もう、何が何だかわからない。 「きっと夢なんだ……」 石がめっちゃ光ったのも、 知らない場所で目を覚ましたのも、 物語の中のような非現実的な人がいるのも、 全部。 全部夢だ…。 そう呟いたときだった。 部屋のドアが開く。 「…夢じゃないの。」 成瀬紫乃が立っていた。 その美しい声で、真実を告げる。 「……は!?お前…なんでここに…?」 理解できない。 成瀬が何をいっているのか。 これが現実? こんなよくわからない場所にいるのが。 「…ここは…今のあなたにとっては異世界とでも言っておきましょう。」 この世界を知っている、というような口ぶりだった。 「異世界……!?」 漫画とかアニメでよくあるアレだろ? 主人公が異世界に連れていかれたとか、魔法とか剣とか…! 「そんなこと信じるわけ―――」 言いかけたところで、紫乃は突然目の前に膝をついた。 「――お願い。私たちにはあなたが必要なの!」 膝をついたまま、上を見上げて、笠を見つめる。 とても真剣な眼差しで。 .
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