4人が本棚に入れています
本棚に追加
突然のこと。
即座に理解するには無理があった。
「……いきなり…何?」
「姫っ、何も膝をつかれなくても…」
ラスヴィが紫乃に向かってぼそりという。
聞こえてるんだが。
今、「姫」って言ったか?
だったらなんだ、成瀬は異世界では「姫」?
「だまりなさい、ラスヴィ。リュウに失礼です。」
「はっ、失礼いたしました。」
「えーっと……」
いきなり「リュウ」と呼び捨てにされ、戸惑いながらも、そのはきはきとした成瀬の口調に迫力を感じた。
「残念ながら、リュウ。あなたに拒否権はないの。」
「…は?」
「あなた一人じゃこの世界では生きていけない。だから、私たちと一緒に。」
「………」
なんなんだ?
頼んできたり。
強制してみたり。
「とりあえずここが異世界ってんなら、元の世界に帰りたいんだけど。」
「……あなた…今の話聞いてた?」
「あぁ。……でも、もちろん帰れるんだろうな?」
「……そうね、ちゃんと協力してくれたら帰る方法を教えるわ。」
彼女は、無表情で話す。
「―――わかった。」
リュウは溜息まじりに返事をする。
「…交渉成立ね。」
そこで彼女はにこりと笑ってみせた。
.
最初のコメントを投稿しよう!