142人が本棚に入れています
本棚に追加
涼子が店を出た瞬間、店内の喧騒が耳につき始めた。
日曜日の店内は、カップル達でにぎわっている。
カップル達の談笑が、桔平の耳に木霊する。
まるで、ポップなラブソングのように。
桔平は窓際の席で、踏み潰されたゴキブリのようにうなだれている。
その目に、表の通りを歩いてくる涼子の姿が映じた。
その凛呼とした顔は、いまだかつて見たことがないほど美しかった。
ユリの花のようだな……
桔平はぼんやりとそんなことを思った。
まっすぐに前を見据えて、涼子は歩いてくる。
涼子が近づいてくるにつれ、桔平は鼓動の高鳴りを覚えた。
最初のコメントを投稿しよう!