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「あははは。やだーそれー。慶太には合わない~。」
舞...慶太...?
なん..で?
ズキズキする心臓が痛い。
塾から出るためには絶対に2人の座っている前を横切らなければいけない。
でも人もまばらなこの時間。
横切らなくても見つかるのは時間の問題かもしれない。
足がうまく前に出ない...
ようやく意を決して足を前に出した途端
「綾?」
慶太の視線が私を捉えていた。
「あっ、あの、メール送ったんだけど、先に帰ろうと思って。取り込み中っぽいから今日は先に帰るね。」
そう伝えて、足早に2人の前を横切った。
言い逃げ?
ううん。漫画みたいに「おい、まてよ。」って追いかけてきてくれないかな、なんて思ってた。
「おい!綾!」
ほら、やっぱり...
にやける顔を必死で抑えて振り返ると、予想に反して慶太はソファから一歩も動いておらず、その表情は明らかに怒っていた。
「お前ってわけかんねぇ。帰りたきゃ一人で帰れば?」
そう言い放った。
えっ、なんで?なんでそうなるの?
舞のいる手前、動揺してるのを悟られたくなくて
「うん。帰るね。」
普通に聞こえるように、歯を食いしばってそう答えた。
「えー、慶太、その言い方かわいそ~。綾ちゃん、ばいばーい」
あははは。そんな舞の笑い声とバカみたいに明るい声が聞こえた....
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