第1章

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1階に降り、中庭を見た。 人数が...減ってるわけないよね、あはは。 身だしなみはさっきトイレの鏡で整えた。 スカートも少し多めに巻き上げて、いつもよりも短めにしてみた。 グロスも塗り直して・・・ 塾には勉強しにきてるのに、何やってんだ、私... それでも、彼の元に行かなきゃと思うのは、相当やられてるんだな。 すぅ、はぁー さて、行きますか。 慶太に向かって一直線に進んでいくと、彼の周りにいた人たちの視線を一斉に集めた。 「おせーよ。」 「ごめん...」 あー、ギャルの視線が痛い... ************ 「...でさ、すげーやばかったー。」 「えー、そうだったのー?それマジでやばいー。」 キャハハハ ほぉら、やっぱり入っていけない。 完全蚊帳の外状態で早1時間。 ギャル達は予想通り、私の存在を完全無視... 特にひどいのが舞(まい)と呼ばれている美女ギャル。 セミロングの巻き髪茶髪、真っ白な肌に大きな目。 屈めばパンツが見えそうなぐらい短いスカート。 そのスカートからは、モデル並みの細い足が出ている。 今の状態は、中庭の長いすに、私(空間)慶太(密着)舞で座ってるんだけど、なんで慶太と舞は密着?! 見ようによっては舞が一方的に距離を詰めた感はあるにしても、慶太も特に嫌がるわけでもなく。 もやもやしてると、明らかに私に対して敵意をこめた言葉を舞が口にした。 「慶太ぁー。塾終わったら、いつも通り舞達と一緒にご飯行くでしょ?」 甘ったるい話し方... 苦手だな... しかも『イツモドオリ』...か。 そりゃそうだよね。 舞にしてみれば、私はイツモドオリの仲間には入れたくないわけで。 加えて、私はあなたより慶太との関係が長いのよ、わかってる?っていう感じだよね。 そもそも私が慶太の「彼女」だってこと、ここにいる誰も知らないんじゃない? みじめになるのが目に見えてる。 俯いて慶太の答えを待っていると、
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