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サボればよかった。
ぼんやりと先生の話を聞いている。次の授業は‥なんて考えつつふと窓の外に視線を向けると、グラウンドには先輩らの姿があった。
相変わらずやな、謙也さん。部長も‥絶対絶頂言うてるわ、あれ。軽く溜め息を吐き出し、視線の先を変えると不意に視界に捕らえた人物は昨日の見知らぬ女。
ちゅーても、今朝転入生がどうのこうのって騒いどったからな。きっとあの人んことやんな。せやけど、高校生言うてなかったっけ?
‥まぁ、ええわ。触れたらあかんような気ぃするし。
暫く見詰めていると、急に先輩の表情が変わった。なんやと思て、そっちに視線を移したら謙也さんが派手に転んどった。スピードだけを追求するからそんなことになんねん。ほんまあほやな。
心配そうに駆け寄る先輩。ま、先輩が心配すんのもしゃあないわな。
せやけど‥絆創膏を渡した時の謙也さんの表情。なんやものごっついらつく。ちゅーか、先輩もなんやねんその顔。
先輩は謙也さんの背中をずっと見詰めていた。
なんや‥この気持ち。よぉわからん気持ちが胸を渦巻いとる。
「‥あほらし」
なんで俺がこんな心配せなあかんねん。別に好きでもない先輩のことやで。ほんまに‥。
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