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いつも見ている顔ぶれ。テニス部レギュラー陣や。
金ちゃんと謙也はしてやったりっちゅー顔しとるし、財前は相変わらずのポーカーフェースやけど‥何処か笑みを浮かべとる。他の皆も手にはクラッカー。あぁ、さっきの音と紐みたいなやつはこれかいな。
暫く無言で皆を見詰めていると、悠理が俺の目の前に来てどや顔をしているのか笑っているのか解らない表情で
「びっくりした?私、くらの誕生日知っとったよ。でも、知らん顔してたんばい。昨日からこの計画ば皆で練ってたんよ、くらにばれたら元も子もないけん‥まぁ、ドッキリってやつ!」
ニッとした意地の悪い笑みを浮かべる悠理。その途端、一気に体の力が抜けてしまった。
「‥な、なんやねん‥ドッキリやったんか‥ほんまにもう‥」
忘れられたんかと思うてた。金ちゃんにはともかく‥謙也や千歳らに忘れられとったらどないしよって。
あかん、泣きそうやわ。
めっちゃ嬉しい。
「けど、これ殆ど悠理が考えたんやで。どうやったら一番思い出に残るんやろかとかな」
「け、謙也!余計なこつば言わんちゃよか!」
悠理は照れ隠しのように謙也を叩いとる。悠理や皆が俺の為に‥。
「よし、じゃあ声を合わせて‥せーのっ!」
「「「HAPPY BIRTHDAY!白石蔵ノ介」」」
「くら、生まれてきてくれてありがとう。んで、おめでとう!」
俺、生まれてきてほんまよかったわ。今日、改めて心底思た。
「‥おおきに、皆。大好きやで」
そして、一つだけわかったことがある。
俺‥
悠理が好きや。
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