◎複雑な気持ち

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「あー‥今日は楽しかった!また善哉食べに行こうね、光」 「今度は先輩の奢りで」 「金があったらね、それから光がデレてくれたらいいよ」 「‥遠慮しとくっスわ」 あれから、私と光は甘味処を出たあと少しだけ買い物をした。 一人で帰れるって言ったのに光が「暇なんでついて行きます」って聞かないから、今私のマンションの近くまで来ている。 「あ、もうここで大丈夫だよ」 「いや、家までついて行きます」 「いやいやいや、いいって。てか光も早く帰らないと親が心配しちゃうでしょ」 「‥別にそんなことないっスわ」 「いいけん、早く帰んなっせ。光、かっこいいんだけんストーカーとかの被害に遭うばい」 「それはこっちの台詞っスわ」 「は?」 「いや、別に‥。ほんなら帰ります」 そう言って光は踵を返す。 しかし、直ぐにこちらを振り返り近付いてくる。 「先輩」 「え、なに‥!?」 いきなり手を握られた。 あまりにも急なことだった為、私の頭の中はパニック状態。 え、え、え? 何で手握られてんの? どうしたどうしたどうしたどうしたどうsry 鼓動がどんどん早くなっていく。 恐らく顔は真っ赤だろうな‥ 顔を上げたくても上げられない。 「‥ひ、光?」 耐えきれなくなって若干震える声で名を呼ぶ。 情けないなー‥こんなことでいちいちテンパるなんて。 私の手をすっぽりと覆う光の手。 年下とは言え、やはり男の子なんだな‥ 「‥ほな、帰ります」 「へ?あ‥」 答えるより先に手を離された。 手の温もりが無くなって思わず顔を上げてしまう。 そこには、先程まで無愛想だった光じゃなくて柔らかい笑みを浮かべた光。 何でこの状況でそんな顔すんのさ‥ 惚れてまうやろおおおおおおおおおおお!← 一人思っていると、光は今度こそ踵を返して帰って行った。 心なしか、光の耳が赤くなっていた‥ような気がする。 その背中を見詰めながらぽつりと呟く。 「もしかして‥デレた?」
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