367人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー‥今日は楽しかった!また善哉食べに行こうね、光」
「今度は先輩の奢りで」
「金があったらね、それから光がデレてくれたらいいよ」
「‥遠慮しとくっスわ」
あれから、私と光は甘味処を出たあと少しだけ買い物をした。
一人で帰れるって言ったのに光が「暇なんでついて行きます」って聞かないから、今私のマンションの近くまで来ている。
「あ、もうここで大丈夫だよ」
「いや、家までついて行きます」
「いやいやいや、いいって。てか光も早く帰らないと親が心配しちゃうでしょ」
「‥別にそんなことないっスわ」
「いいけん、早く帰んなっせ。光、かっこいいんだけんストーカーとかの被害に遭うばい」
「それはこっちの台詞っスわ」
「は?」
「いや、別に‥。ほんなら帰ります」
そう言って光は踵を返す。
しかし、直ぐにこちらを振り返り近付いてくる。
「先輩」
「え、なに‥!?」
いきなり手を握られた。
あまりにも急なことだった為、私の頭の中はパニック状態。
え、え、え?
何で手握られてんの?
どうしたどうしたどうしたどうしたどうsry
鼓動がどんどん早くなっていく。
恐らく顔は真っ赤だろうな‥
顔を上げたくても上げられない。
「‥ひ、光?」
耐えきれなくなって若干震える声で名を呼ぶ。
情けないなー‥こんなことでいちいちテンパるなんて。
私の手をすっぽりと覆う光の手。
年下とは言え、やはり男の子なんだな‥
「‥ほな、帰ります」
「へ?あ‥」
答えるより先に手を離された。
手の温もりが無くなって思わず顔を上げてしまう。
そこには、先程まで無愛想だった光じゃなくて柔らかい笑みを浮かべた光。
何でこの状況でそんな顔すんのさ‥
惚れてまうやろおおおおおおおおおおお!←
一人思っていると、光は今度こそ踵を返して帰って行った。
心なしか、光の耳が赤くなっていた‥ような気がする。
その背中を見詰めながらぽつりと呟く。
「もしかして‥デレた?」
最初のコメントを投稿しよう!