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俺はもともとピエロが苦手だったから、滅茶苦茶怖くなって、『追いつかれたら殺される』なんて考えたわけ。
でもまぁ夢の中の不思議なんだけど、何故か走れないんだ。足は一定の速度を保ちながら学校へと動く。
振りかえらなきゃいいのに、首は勝手に後ろを向いて、目はピエロを探す。
振り向くたびにピエロは近づいていて、振り向くと一目散に逃げていく。
その繰り返しをしながら、ゆっくりと俺は学校へ近づいていったんだ。
学校まであと少し。
少しづつピエロが迫ってきてはいるけど、この調子ならピエロに追いつかれる前に学校に到着できる。
俺は安堵感に包まれた。
学校の正門の前で、俺はまた振り向いた。これが最後の振り向きだなとか考えながら。
俺の目が捉えたのは、一目散に逃げていくピエロじゃなかった。そのまったく逆。
こっちに物凄いスピードで向かって来てんの。腕思いっきり振りながら。足思いっきり上げながら。
で、なにより顔が怖かった。怒りに震えた顔でも、必死の形相でも無かった。
物凄い笑顔なんだ。凄い嬉しそう。ずっと我慢していた大好物を、やっと頂ける、そんな顔。
俺はやばいと思って、学校へ全力疾走するんだけど、正門の丁度まん前で両肩をがしっと捕まれた。
殺される。そう思って振り返ったら、ピエロは笑顔でこう言ったんだ。
「三度捕まえたら、殺す」
数日前見た夢は2回目。1回目は小学校の頃に見たんだ。
昔のことだったんで久しく忘れていたんだけど…。
3回目は何時になるのか…。
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