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緩やかな坂を上れば、墓地はもうすぐそこだ。
樹齢何百年かの大木が憂鬱な気分の僕等を迎える。
蝉がうるさい、空気が暑い。僕の視界はぼやけ、意識は遠退きつつあった。
それでも何かがふらふらと揺れる僕を呼び止めていた。
「…また、だね」
「会いたいなぁ…ホントによぉ」
倭はどこか遠くを見てるし、駿は半泣きだ。
僕だって会いたい。
僕だって泣きたい。
佳菜は、僕たちがこんなに悲しんでてもわからないんだなぁ…
少し、むかつくよ
置いてきぼりにして、
僕の悲しみをよそに、
勝手に死んじゃって。
僕の涙は君だけで枯れちゃうよ。
「あ?…なんだこれ」
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