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「ん…」
ぼやけた視界、
目を擦るとそこは朝の日差しが眩しい縁側だった。
なんだ…。
二十歳にもなって過去にタイムスリップとか考えた自分も自分だけど、ちょっと騙された気分だ。
「出発の準備…するか…」
着替え、財布、携帯…
順番に確認していく。
帰りたくない、なんて幼稚な考えが過ぎる。
「なぁ、燈真」
「え?!…なんだ、駿かぁ」
突然に名前を呼ばれて大きな声を出してしまった。
駿は苦笑いだ。
「急に悪いな、俺さ…もう一回だけ最後に佳菜の墓参り行きてえんだ」
佳菜の墓参り…か…。
「僕も行くよ…でも、真夜は行かなさそうだな…」
「…だな」
自然に声のトーンが落ちる。
いい加減立ち直らなきゃ、いつも思うが、いまだに無理だ。
空気が重苦しい、
僕は俯いてしまった。
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