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1.はじめまして
はじめまして。
「ねぎ」といいます。
いいえ、野菜じゃないんです。三毛猫なんです。
ちょうど一年くらいまえの晴れた日に、いつものようにのんびりとお散歩をしていたら、人間の女の人によばれたんです。「おかし」という人間の食べものをもらって、それからこのうちに住むようになりました。
ご主人は「お仕事」というものをしています。帰りが遅いので、ワタシはたいてい寝ています。
ご主人は最初、ワタシのことを「どーでもいいやつ」と思っていたみたいです。
ワタシがこのうちに来た日に、ご主人はナベとかいうものを食べていました。
さっきのおかしをくれた女の人(あとで「おくさん」という人だとわかりました)が「このネコ、名前どうする?」とかなんとか言っていたのですが、それを聞いたご主人がちょうどネギを食べていたので、「『ねぎ』でいんじゃない?」となってしまいました。
ご近所のおともだちは「たま」とか「クロ」とかいいます。
ワタシだけ「ねぎ」です・・・。
ご主人はたまに「ヘンな名前だ」と言いますが、自分でつけておいてそれはないんじゃないかと思います。
最初は自分が「ねぎ」と呼ばれていることが信じられなかったので返事をしませんでしたが、最近ではごはんのときに「ねぎー」と呼ばれると、思わず「にゃー」と言ってしまう自分が少し悲しいです。
「まえに『いわし』って名前のネコがどこかにいたそうだよ」ってご主人は言いますが、なんのなぐさめにもなりません。
それに野菜のネギはネコには毒なんだそうです。
イカやタコなんかも食べちゃいけないんだそうです。
食べられないものなのに自分の名前になっているなんてひどいと思います。
でも「たこ」じゃなくてよかったです。
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