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「朝、起きた時は驚いた。」
そう言いながら3つ目の茶碗にご飯を盛る命。俺は起きただけで驚く理由に少々心当たりがあったが、そうではない事を祈りつつ命に続きを促す。
「朝起きたら胸の辺りがいつもより重くてまた大きくなったのかと危惧しながら目を開いたら凛が乗っていた。」
祈りは無駄だった。
「どかそうと思ったら右腕を光が抱き枕のように使っていて動かせ無かったよ。」
俺の時と違うのは、乗っかっているのが凛では無く光だった事だ。
「左腕は自由だったから手間取ったが何とか凛をどかして光を引き剥がしたよ。」
良かった。流石に千里まで命の布団に潜り込んではいなかったようだ。
まあ、年頃の娘が俺の布団に潜り込んで一緒に寝ると言う行為自体稀な状態だからそうほいほいとあっては困る。
少しホッとしたが、命に迷惑を掛けた事に変わりは無いので直ぐに謝ろう。
「すいません。凛も光も命を
大分気に入っているようでして。」
「それは構わないんだが、・・・・・・2人が寝言でお母さんと呼んできてな。」
良く見ると、5つ目の茶碗にご飯を盛る命の手が小刻みに揺れているような気がする。
「慕われていると喜ぶべきか、私が老けているととるべきか悩むところだ。」
おそらく凛と光にとっては、命から放たれる年上の雰囲気と母性を何となく感じ取って出した寝言だろう。
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