青空と遊園地

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だからここは、俺が何か言わないと軽く落ち込んでいる命がこのままの状態で出かける事になるだろう。 「大丈夫です。命は歳相応の外見です。ただ、内側から出てくる母性を凛と光が感じ取って母親と命を重ねてしまったが故に寝言で出たんでしょう。」 そう言うと7つ目の茶碗に手を掛けながらこちらを見る。 「そうか?ちゃんと歳相応に見えるか?」 当然です。 命は、1つ上らしい大人びた雰囲気はあるが、それを話題にされると直ぐに傷ついてしまう繊細な心をお持ちのようだと考えています。 流石に今考えた事をそのまま命に伝えるのは恥ずかしいな。 大丈夫です。見る人によってはちゃんとそう見えますよ。 これも駄目だ。でも他に候補は、これだ! 「少なくとも俺には、歳相応に見えます。」 これで当たり障りは無いはずだ。 「そうかそうか、ちゃんと私にも歳相応に可愛らしいところが有るか!」 いえ、そんな事は言っていません。 どちらかと言えば綺麗の部類ですので可愛いでは無いと思います。 これらをオブラートで包みたいがどう言ったものだろうか?いっそ何も言わないほうが良いのか? ここで何も言わなかったら勘違いをしていると気付かない命が、後々に黒歴史になるような行動やファッションをしてしまうより先に言って多少嫌われるのを対価に回避したほうが良いだろう。 「命の場合は、可愛いは当て嵌まりません。」 浮かれていた様子の命は、俺の言葉を聞いて動きを止める。 「え?」 普段と違うトーンのその声は、思わず口から出したらしい事が窺える。 命のその目には、涙が溜まっていそうにも見えない事もない。だが、命に限っては絶対に見間違いだろう。
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