廃ビルより殺意を込めて

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※※※※※ ある町の山の中ほどに5階建ての建物がある。窓が無く中にはコンクリート製の柱と階段しか 完成していない。 それだけなら建設途中の建物と思うことが出来るが、ビルの外壁を覆う蔦の侵蝕具合からして、かなり長い間人の手が付いていない状態であった事がわかる。 その建物は建設途中で中止になったビルである。 中止になった理由は工事中に作業員が原因不明の事故で負傷する者が後を絶たなかった。 幸い死人が出る事は無かったものの原因不明の事故は、建設に使用していた資材運搬用のトラックが人がいない状態にも関わらず蛇行しながら作業員を追い回す事件が3回発生したのを機に祟り等が原因であると建設会社の社長も考えられたらしい。 私としてもあれは傑作だった。ビビッて顔を引きつらせているのを見るのって楽しいよね? 特に3回目は作業員達に祟りなんて無いと怒鳴り散らしていた社長自身を追い回してやったら涙を流して転びながら逃げていたのが今でも鮮明に思い出せる。 その後は、霊能力者や神主、神父等が御祓いとやらに来たが結局私達を祓う事なんて出来やしなかった。 建設中のビルは、重機は撤去したが鉄骨などの材料はそのまま放置されたままとなって多少の年月が過ぎた頃には、このビルは地元で噂される心霊スポットになっていた。 その噂の内容は、このビルで肝試ししていると、どんなに仲のいい親友同士や恋人同士でも人が変わったように口喧嘩して殺し合いにまで発展するというもの。 本人達は喧嘩しているときの記憶が曖昧で正気に戻ったらお互いに傷だらけの血まみれで驚くのだ。
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